親権について

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未成年の子どもがいる場合、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めなければ離婚はできません

これは、離婚する場合には、どちらかの単独親権としなければならないためです。

離婚だけを先に行い、子の親権者の決定・指定は後で決めるということはできません。

そのため,夫婦間の合意で親権者を指定できないときは、仮に離婚自体については合意できているとしても,協議離婚の届出ができないので、調停や裁判で親権者を定めることになります。

ここで大切なことは、親権者の指定が子どもの生活・福祉を考えて決められるという点です。

「親権」という言葉を文字通り「親の子どもに対する権利(支配権)」と理解し,そこから親権者の指定に当たって「子どもを取った・取られた」などということがあります。

しかし,そもそも親権が認められているのは,あくまで子どもの福祉を実現するためであって,親の願望を満たすためではありません

そのため,民法820条も親権者が「子の監護及び教育をする権利を有し,義務を負う。」と規定し,親権が子どもに対する義務でもあることを明らかにしています。

さらに,平成23年の改正で,民法820条に「子の利益のために」という言葉が追加され,親権が子どもの福祉のために行使されるべきことが明確になりました。

このように親権は子どもの利益のために認められる概念ですので,親権者の指定に当たっても,「子どもの福祉を実現するためにふさわしいのはどちらか」という観点から決められることになります。

決して親のエゴや離婚の際の意地の張合いなどで決められるものではないということを念頭においてください。

調停や裁判において親権者を定める判断のための要素としては、

①乳幼児の母性優先(乳幼児については母性的役割をもつ者による監護を優先させる)

②監護の継続性の維持(現実に子を養育監護しているものを優先する)

③子の意思の尊重(15歳以上の子についてはその意見聴取が必要である)

④兄弟姉妹関係の尊重(血のつながった兄弟姉妹を分離することは、子の人格形成に深刻な影響を及ぼすため)

⑤監護能力の有無(意欲や能力、経済力等があるか)

などがあります。

 

親権を獲得するためにするべきこと

離婚をするにあたって、未成年のお子さんがいる場合、親権をどちらにするかが問題となります。特にお子さんが小さい場合、親権について苛烈な争いとなることがあります。

別居に際し、子どもが連れて行かれないようにすること

まず、裁判所の判断基準として、夫婦のどちらのもとでお子さんが監護されているかが重視される傾向にあるので、別居に際し子どもが相手方に連れ行かれないようにすることが大事になります。

もし仮に、連れて行かれてしまった場合には、直ちに、裁判所に、監護者指定の審判や子の引渡しを求める審判の申立てを行うのがよいでしょう。

また、子が連れ去られそうな状況、すなわち、既に監護者について夫婦間で争いがある場合には、同居中でも監護者指定の審判や調停を申し立てることも検討する必要があるでしょう。

子供の育児に積極的にかかわり、記録を付ける

子の親権者や監護者を決めるにあたっては、過去の監護状況において、主たる監護者がどちらであったかが重視されます。

具体的には、食事の提供を誰が行っていたか、保育園などの送り迎えを誰が行っていたか、連絡帳の記載を誰が行っていたか等が判断材料とされます。

もっとも、上記の判断材料について、主に母親が行っていたとしても、父親が、仕事が早く終わったら早く帰って子どもをお風呂に入れていたということや土日は時間を作って遊ぶようにしていたことなどがあれば、父親が親権者として適切であると判断されることもあります。

その他、監護補助者として、実家の両親やベビーシッターの協力が得られるということも、親権獲得にあたって有利な材料となります。

以上のほか、収入状況なども含めて総合的に判断して夫婦のいずれが親権者ないし監護者として適切かが判断されることになります。

したがって、上記の判断用基準に関連する証拠を確保しておくことが重要となります。

 

集めておくべき証拠の種類や、親権を取得できるかどうかなどは、一度離婚に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

離婚後の子どもとの関係・間柄

子どもを離婚後も夫婦の共同親権とすることはできません

必ず夫婦の一方が親権者となります。また、子が数人いる時は、それぞれの子について親権者を決めなければなりません。

親権者の記入には細心の注意が必要です。

離婚届を受け付けてもらいたいがために、とりあえずどちらかを親権者として記入しておいて、離婚が成立してからあらためて話し合おうと思っても、親権者は離婚届に記載した通りに戸籍に記載されてしまいます。

後で変更するつもりであったとしても、親権者の変更は家庭裁判所の審判が必要ですから、簡単に変更できるものではありません。

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